■ランキングでの「格下」「格上」に意味はなし
どんなに優れた理論や数学を駆使した計算方法を導入しても、対戦していないチーム間の優劣をつけるのは合理的ではないし、無理がある。まして過去2年間のコロナ禍により、国際交流に大きな制限がつき、できてもほとんどが地域連盟(大陸)内でのものに限られている。すなわち、2020年からの2年間は、大陸をまたいだ交流がほとんどなかった時期と言ってよい。
地域連盟をまたいだ世界的な交流が盛んに行われてのポイントであり、FIFAランキングであれば理想に近づくのかもしれない。しかし現在のように「地域間鎖国」のような状況、すなわちアジアはアジア内だけ、欧州は欧州内だけでしか国際試合が行われない状況であれば、地域連盟内のランキングはつけられても、「世界ランキング」には無理があるように思われてならないのである。
今回のワールドカップ組分け抽選で言えば、「ポット1」と「ポット2」(第1シード8チームと第2シード8チーム)ぐらいは「ランキング」に基づいて配分してもいいが、残りの16チームはポット制をなくし、地域的な重複がないようにすることだけを考えて割り振ってもよかったのではないかと思うのである。
だがFIFAランキングはあくまでも試合数など実力とは関係ない要素が多分にはいっていることを知っておかなければならない。間違っても、日本と同じE組にはいった「ポット4」、コスタリカ(20位)あるいはニュージーランド(101位)を、「格下」などと表現してはいけない。同時に、ランキング21位のドイツ、8位のスペインを「格上」として、必要以上に恐れるのも、馬鹿げたことだ。