大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第86回「FIFAランキングの怪」(2)「テスト発表」の3年間で50位以内に入れなかった日本代表の画像
初出場をつかんだフランスW杯予選で日本は大きく順位を上げた 写真:渡辺航滋

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、FIFAランキングなる不可解な数値について。

■不合理なFIFAランキング

 そう、FIFAランキングは不合理なのだ。対戦したことのないチーム同士を、無理やり理屈をつけて格付けすることになるからだ。

 そんなものを考え出したのは―? そう、「1日に50の新しいアイデアを考え出すが、そのうち51はクソだ」と英国の名物記者ブライアン・グランビル翁にこき下ろされた前FIFA会長のジョゼフ・ブラッターである。彼が会長になる前、事務総長時代の1990年代はじめのことである。

 ブラッターは2人の数学者を呼び、コンピュータの専門家を使って、数年間をかけて国際試合の成績をポイント化することにこぎつけた。最初の試算結果が発表されたのは1992年の12月のこと。1990年、1991年、そして1982年のそれぞれの年の最終ランキング(50位まで)を明らかにした。ちなみにこの3年間は、連続して1990年ワールドカップ優勝のドイツ(優勝時は「西ドイツ」)が1位に輝いている。

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