■スコアで黙らせることはできなかった
アナウンスやプラカードで制御することができないアウェイ席を静かにさせるには、日本が強豪らしくプレーとスコアで圧倒するしかなかっただろう。
しかし、スコアで黙らせることはできなかった。オーストラリア戦から先発を9人入れ替えた日本は、キャプテンの吉田麻也が「にしても前半良くなかった」と振り返ったように、メンバーの変更という部分を考慮しても不甲斐ない出来でベトナム代表の選手・サポーターを勢いづかせてしまった。
アウェイ席が、いつゴールを決められてもおかしくない、というパターンでの対強豪モードでじっと試合を見守ることになった時間帯もあった。61分に田中碧、守田英正、南野拓実が投入され、コントロールを得て押し込み続けられるようになってからだ。ベトナムサポーターの盛り上がるポイントは、日本がシュートを決められなかった時に限られることになった。
70分、上田綺世のシュートに田中が詰めてネットを揺らし、ゴールキーパーのブイ・タン・チュオンが敗戦を悟ったかのようにボールを自分の頭に当てて静かに悔しがると、アウェイ席に真の沈黙が訪れた。