後藤健生の「蹴球放浪記」第103回「初めてもらったイエローカード」の巻(2)フリーランスを助けたトイプードルの画像
ワールドユース日本の初戦、カメルーン戦のプレスパス。珍しい円形! 提供/後藤健生

 世界中で取材をするのに必要なのは、許可証だけではない。国によっては、予防接種が必要なこともある。蹴球放浪家・後藤健生は半世紀前から世界を駆け巡り、そのために必要な措置も経験してきた。やはり、世界は広いのだ。

■ワクチンが存在しないマラリア

 さて、その4年後、再びナイジェリア行きを計画した僕は、前回の反省を生かしてかなり時間的余裕を持って、今度は(もう横浜で働いていなかったので)東京・新宿にある渡航者医療センターに行きました。そこで担当してくれたのが濱田篤郎先生。新しい病気が流行したり、ヒアリ(火蟻)が見つかったりすると「専門家」として、よくテレビに出演している先生で、最近もよく顔をお見かけします。

 濱田先生には「コレラはあまり効かないから打たないでいいでしょう」と言われました(有効性が高くないので、最近はあまり使われないそうです)。そこで、天然痘のほか、B型肝炎と狂犬病の接種を受けることにしました。

 ナイジェリア大使館にビザをもらいに行った時、ビザ担当の大使館員に「俺だって、帰国する時には必ず肝炎の注射はしていくから、お前も肝炎だけは打っておけよ」と言われたので、そのアドバイスも参考にしました。

 マラリアも心配なのですが、マラリアにはワクチンというものが存在せず、予め治療薬を飲んでおくしかありません。しかし、日本で入手できる治療薬は効き目が弱いので、ナイジェリアに向かう途中、ヨーロッパの空港の医務室で受け取るようにと濱田先生に言われたので、僕はアムステルダムのスキポール空港でマラリア薬をもらってナイジェリアに向かいました。

 アフリカに行くのは、やはり大変なのです。

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