■生命進化の歴史を想起させる日本代表の歩み

 だが、「もし地球の環境がまったく変化していなかったら、地球上には今でも単細胞生物しか存在していなかったかもしれない」という専門家もいる。

 地球では極地だけでなく赤道地帯までが分厚い氷河に覆われる「全球凍結」という現象が過去に何度か起こっている。その他にも、地下で対流するマントルが一気に上昇して地表に噴き出すスーパープルームという現象が起こることもある。そうした環境の危機に襲われると、地球上の生物のほとんどが(最悪のケースでは99%が)死滅してしまう「大量絶滅」という現象が起こる。

 しかし、環境が改善されると“危機”を乗り越えて生き残った生物が一気に進化を遂げる。多細胞生物が誕生したのも、脊椎動物が進化したのも、すべてそうした「大量絶滅」事件の直後のことだったのだ。

 最近では、6600万年ほど前にメキシコのユカタン半島付近に直径10キロほどの小惑星が落下。その結果引き起こされた環境破壊によって、当時、食物連鎖の頂点に君臨していた恐竜が絶滅したと言われている。もし、この破局的な衝突事故が起こらなかったら、今でも恐竜が地上を支配しているかもしれないし、哺乳類が繁栄することはなかったはずだ。

 つまり、環境的な危機が起こるからこそ、生物は進化してきたのだ。もし、環境破壊がもっと頻繁に起こっていれば、生物の進化は実際よりずっと速く進んだかもしれないとも言われている。

 次々と襲い掛かる“危機”に対処することによって「新陳代謝」を繰り返して強くなってきた日本代表を見ていると、そういった地球生命の進化の歴史を思い出すのである。

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