日本初の試みとなった女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」が、中断期間を経て再開された。リーグが掲げる目標と理念は崇高なものであり、かつて世界の頂点に立った日本の女子サッカーは大きな可能性を秘めている。一方で、いきなりすべてが順調に進むわけでもなく、問題も散見される。「今」だからこそ見えるものから、サッカージャーナリスト・後藤健生が日本女子サッカー考察する。
■目標に遠く及ばない入場者数
プレーの面だけではなく、長男を抱いての入場を果たした岩清水梓は、母となってからも活躍を続ける将来の女性アスリート像を象徴するような光景だった。
とくに、WEリーグは「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」を理念として掲げており、母となってからもアスリートとして輝いていく岩清水のような存在は、そんなリーグの理念を体現した存在ということができる。
さて、そんな話題にも恵まれた後半戦再開だったが、この日の味の素フィールド西が丘の入場者数はわずかに848人だった。
第12節の5試合で最高の入場者数は大宮アルディージャVENTUS対ノジマステラ神奈川相模原の試合の4024人だったが、この数字は大宮が招待者を招くなどして観客動員に力を入れたから生まれたもので、他の試合は前半戦を首位で折り返したINAC神戸レオネッサ対ちふれASエルフェン埼玉戦の1270人など、いずれも1000人をわずかに超えた程度だった。
5試合平均では1653人。WEリーグが開幕前に「目標」としていた5000人には遠く及ばない数字となっている。