今年の2月26日も、現役選手として迎えた。
”キング・カズ”こと三浦知良にとって、55歳の誕生日である。
プロ37年目のシーズンは、JFLの鈴鹿ポイントゲッターズで過ごしている(#1・2のうち1)。
■カズの胸に宿る「真っすぐな向上心」
J2の横浜FCを離れる意思を示した昨年末から、国内外の複数クラブが獲得に名乗り出た。J2やJ3でプレーする選択肢もあるなかで、カズは鈴鹿を選んだ。
実兄の「ヤスさん」こと三浦泰年が監督を務めていることは、「大きかった」と話している。さらに言えば、胸中に宿るのはプレーヤーとしての純粋なる欲求だ。鈴鹿入りに際して、「もっとうまくなりたいし、うまくなれると思っている」と、カズは話した。
同じ言葉を、何度も聞いてきた。
ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かった30歳あたりから、シーズン終盤やシーズンイン直後、あるいは誕生日などの節目で取材を受け、カズは「もっとうまくなりたいんですよ」と話した。途絶えることのない向上心の告白は、「何歳まで現役を続けたいのか」という質問の答えであり、「来るシーズンの目標は」との問いかけへの答えでもあった。
プロフェッショナルである以上、結果へのこだわりはもちろん強い。チームの目標達成に貢献するとの思いは身体の芯を貫くが、それと同時に真っすぐな向上心をいまでも育んでいる。「うまくなりたい」という原初的な欲求こそが、三浦知良という選手の核心なのである。
カズは言う。
「自分がこれまでサッカーと向き合ってきた気持ちは、これからも変わらないと思います。鈴鹿でとくに新しく自分を変えて、何かをやるというよりも、いままでやってきた情熱をまたこの鈴鹿という新しい場所で、さらに燃え上がらせてできたらいい。もちろん試合に勝つこともそうですが、自分の情熱を皆さんに伝えられたらいいなと思っています」