サッカーは歴史に学ぶことも多い。だから、蹴球放浪家・後藤健生も歴史に親しむ。昨年は国外への遠征はなかったが、国内をめぐることで新たな学びを得た。
■学びを得た北九州の地
2020年の1月、タイで開催されたAFC U-23選手権を観戦するためにタイのバンコクを訪れたのが、僕にとっての“最後の”海外旅行になってしまいました。その頃にはすでに中国で原因不明の肺炎が流行しているというニュースが流れていましたから、バンコクの王宮を見物しに行った時に大勢の中国人観光客に取り囲まれてしまって「大丈夫かなぁ?」と不安に思ったことを記憶しています。
そして、その後は海外旅行が困難な状況が続き、2021年にはとうとう一度も海外に出ることができませんでした。
その代わり、2021年には1年を通して国内旅行を楽しみました。
夏に開催される東京オリンピックを前に、首都圏のスタジアムが使えなかったので、日本代表(オリンピックを目指すU-24代表や女子代表を含む)の試合が北は札幌から南は福岡まで全国各地で開かれたからです。「都道府県境を越える旅行」を繰り返し、昨年は18の都道府県を訪れました。明石市の東経135度の子午線を見学した話は「蹴球放浪記」の第62回「世界の中心で……何も叫ばなかったな」の巻でご紹介しましたね。
今回は、昨年の3月にU―24アルゼンチン代表との強化試合を見に北九州に行った時のお話です。