■巨額の税金を使っても「後の祭り」

 いくら試合が見やすいスタジアムだと言っても、それは「陸上競技場としては」という意味だった。

 ただ、首都圏ではサッカー(球技)専用スタジアムが不足している。

 6万3700人収容の埼玉スタジアムの他は、1万9781人収容の千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ)や1万5000人収容のニッパツ三ツ沢球技場くらいしか存在しないのだ。

 関西圏では大阪府に吹田市立サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田=3万9694人収容)と長居球技場(ヨドコウ桜スタジアム=2万4481人収容)、兵庫県に御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸=2万9631人)、京都府に京都府立京都スタジアム(サンガスタジアム by KYOCERA=2万1623人収容)とサッカー(球技)専用スタジアムが揃っている。

 それに対して、首都圏には大規模な陸上競技場は国立競技場(6万8000人収容)、横浜国際総合競技場(7万2327人収容)、東京スタジアム(味の素スタジアム=4万9970人収容)が3つも存在するのに、サッカー(球技)専用スタジアムが不足するというアンバランスな構図になっているのである。

 国や各自治体が「将来どのように活用するのか」という重要な視点を欠いたまま、それぞれの思惑に基づいて巨額の税金を使って施設を建設した結果、このような事態になってしまったのである。

 まったくもったいないことである。

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