■「インテグリティ」を欠いた2ステージ制の強行

 当初勝ち点を導入せず、「勝ち数」だけで順位を決めていたJリーグは、1995年に「PK負けはかわいそう」という情緒的な理由で「勝利に3、PK負けに1」という勝ち点を採用し、翌年にはこれを「90分間での勝利に3、Vゴール勝ちに2、PK勝ちに1」と変え、さらに1999年には「勝利に3、Vゴール勝ちには2、引き分けに1」とした。

 そう、PK戦は1998年までで中止となり、1999年には延長戦で得点がはいらなかったときには引き分けとなったのである。私が言う「3悪」の一角が崩れたのだ。だが「延長Vゴール」は2002年まで続けられ、二代目の鈴木チェアマンの就任とともにようやく廃止された。

 残る最後の「1悪」、2ステージ制は、2004年まで続けられ、2005年からようやく現在と同じJ1のクラブ数が18でホームアンドアウェーの1ステージ制、「勝利に3、引き分けに1」の勝ち点の積み重ねだけで年間のチャンピオンが決まる方式となった。

 だが「2ステージ制」は亡霊のように11年後に復活する。リーグが某テレビ局の甘い言葉に乗り、経営危機を理由に2015年と2016年の2シーズンに実施したのだ。実は2015年のシーズンが始まる前にリーグ自体に「冠スポンサー」(明治安田生命)がついてこの経営危機は回避され、実際には実施する必要はなかったのだが、Jリーグはその年だけでなく翌年も「2ステージ制」を強行した。これはスポーツとしての「インテグリティ」を甚だしく欠くものだった。

(4)へ続く
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