2021年には、日本で新たな試みがスタートした。初の女子プロリーグ「WEリーグ」が開幕したのだ。
模索しながらのスタートで、改善すべき点は多いにある。その一端が、皇后杯で見て取れた。年末に届いた驚きのニュースから、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■プロチームを倒した18歳以下の選手たち
女子サッカーの日本一を決める第43回皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権大会は、12月25日に各地で4回戦が行われ、ベスト8が出そろった。4回戦では、今シーズン新たに発足した日本で初めての女子のプロリーグ「WEリーグ」に所属する11チームが登場し、3回戦までを勝ち抜いてきたチームの挑戦を受けた。
最大のサプライズは、各9試合ずつを終了したWEリーグで2位に勝点9ポイントの大差をつけて首位を独走しているINAC神戸レオネッサが敗れたことだった。しかも、I神戸を破ったのは、日テレ・東京ヴェルディメニーナだった。
「メニーナ」は、女子サッカー界の“絶対女王”である日テレ・東京ヴェルディベレーザの育成部門のこと。つまり、18歳以下の選手によるチームだったのである。I神戸戦に出場した選手の中の最年少はDFの青木夕菜。2008年7月生まれの13歳の中学生である。
そんなチームが、WEリーグ首位のチームを倒したのだから、これはもう“驚き”と言うしかない(I神戸がメンバーを落としていたわけではない)。
さらに驚くのは、日テレ・東京ヴェルディメニーナは、同じ12月25日の同時刻に行われた第26回全日本Uー15女子選手権大会準決勝でも試合をしていて、浦和レッズレディース・ジュニアユースを相手にPK戦で勝利して決勝進出を決めたことだ(メニーナは、12月27日の決勝戦でもJFAアカデミー福島を相手に非常に質の高い試合をして優勝を決めた)。