■サッカーの興奮が北米に上陸

「シンコム2号」の後継機であり、初の「静止衛星」となった「シンコム3号」と、大西洋上の衛星を通じて、1964の東京オリンピックは衛星放送でアメリカと欧州で放映された。1965年には初めての商業衛星「アーリーバード」が大西洋上に打ち上げられ、1966年のワールドカップ・イングランド大会がアメリカに中継された。この大会の興奮が翌年の北米サッカーリーグ(NASL)の誕生のきっかけになり、このリーグ自体は1984年に消滅するものの、17年間で全米に撒かれたサッカーの種が1994年のワールドカップを通じ、いまやFIFAランキング13位となったアメリカのサッカーの隆盛を生み出すことになる。

 技術の進化は急速だ。29カ国が衛星放送を楽しんだ1966年大会の放送は白黒だった。しかし4年後、1970年にメキシコで行われたワールドカップは、全試合カラー放送による衛星中継となった。そしてここで最初のテレビとサッカーの「バッティング」が始まるのである。

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