■確かに適応に時間は必要だが…
ポヤトス監督に代わり、開幕当初は2011年から徳島で働いてきた甲本偉嗣ヘッドコーチが采配を振るった。ポヤトス監督にバトンを渡すまでのリーグ戦10試合で、成績は4勝2分4敗。最終的にJ1残留争いに巻き込まれることになるチーム相手とはいえ、3連勝を記録した時期もあった。
その甲本ヘッドコーチ指揮の下での勝率は40%。対して、ようやく合流したポヤトス監督の勝率は21%と、評価の難しい結果が残ることになってしまった。
日本のサッカーに慣れる時間が必要だったことは確かだろう。ロドリゲス前監督も、来日初年度の2017年には、J2で2番目となる71得点を記録するチームをつくったが、引き分けの多さがたたって勝ち点1差でプレーオフ進出を逃した。翌2018年には11位と順位を落とし、続く2019年にはプレーオフで敗退。戦力流出にも苦しみながら、ようやく4年目でJ1昇格を勝ち取ったのだ。
ただし、日本人の柔道家がすべて優秀であるとは限らないように、スペイン人であることが指導力を保証するものではない。また、ポゼッションサッカーが全能であるわけでもない。現在のままのサッカーではJ1残留に足りないことは、2021年の結果が厳然と示している。「ボールを保持するという自分たちの良さを多くの試合で出しながら、拮抗した試合をすることができたと思う。その中で決め切ることがなかなかできずに、逆に相手に得点を奪われそのまま敗れることが多かったという印象」。ポヤトス監督自身も、そう語っているのだ。