■今季の攻撃パターンを示した先制点
マルシーニョに代わって大島僚太がインサイドハーフに入って、それまでインサイドハーフだった旗手怜央が左のサイドアタッカーとなったのだ。今シーズンを通じて、インサイドハーフもウィングもこなし、サイドバックとしても使えるユーティリティー性の高い旗手の存在は川崎にとって大きな意味を持っていた。鬼木監督の選択肢が大幅に増えたわけである。
そして、実際、旗手が左サイドに入ったことで川崎の攻撃は活性化し、前半とは打って変わって川崎が攻め込む場面が続いた。
そして、67分に川崎のゴールが生まれる。
丹念にパスをつないで攻める印象が強い川崎だが、今シーズンは相手の裏を取ってのカウンター気味の攻撃からの得点も多かった。まさに、そんな今シーズンの攻撃パターンを象徴するようなゴールだった。
そのお膳立てをしたのは、前半に守備で貢献していた山村だった。ティーラントンが失ったボールを山村が拾って、右サイドの大きなスペースに張り出した家長昭博にパスを送り込んだ。家長は完全にフリーな状態だったから、パスの選択を間違えるわけはない。家長のパスを中央でレアンドロ・ダミアンがヘディングで叩きつけてシュート。このボールが横浜FMのGK高丘陽平の手を弾いてゴールネットを揺らした。
この先制ゴールをきっかけに、ゲームは大きく動き出した。