2020年のJ1は川崎フロンターレが2シーズン連続で制した。独走になった格好だが、最終節の横浜F・マリノスとの対戦では来シーズンのさらなる活性化へのヒントが見えた。現在の国内最高峰のバトルから、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■危機的状況を救ったCB
川崎は、9分にCBの車屋紳太郎が負傷してしまう。車屋はいったんはピッチに戻ったもののプレー続行は不可能で、早くも11分に交代を余儀なくされた。
普通なら、ちょっとした危機的状況である。だが、車屋に代わって山村和也が入って谷口彰悟と組んだ川崎のCBコンビはきわめて強力だった。山村という優れたDFがベンチに控えているのが川崎のストロングポイントの一つだろう。
この夏、三笘薫と田中碧が海外に移籍した後の時期、川崎は谷口をはじめDFがつぎつぎと負傷で戦線を離脱する苦しい時期があったが、そこをカバーしたのが山村だった。
そして、この第42節での山村は横浜FMの強力な攻撃を前にひときわ素晴らしいプレーを見せた。CBとして中央をしっかりと堅めて横浜FMのサイドからの攻めを無力化したばかりでなく、右SBの山根視来が上がった裏を取られた場面では、山村は再三タッチラインまでの広い範囲をカバーした。