■三笘の起用法

 岩政氏へのインタビューは、日本代表がベトナム代表をホームで迎え撃った一戦が行われた11月11日の朝、ベトナム戦の試合前に実施したものだが、この11月のシリーズで初招集となった三笘薫について聞いた。

 

__初招集の三笘薫選手の起用はあると思われますか?

「展開次第ですね。どちらかと言うと、三笘選手はオマーン戦の起用のほうが高いかなと思います。三笘選手がベトナムに対してプレーしようとすると、彼が外からドリブルし始めたら相手の5バックが下がってしまう形になるので、おそらく対応するのはウィングバックになってしまう。ウィングバックになってしまうと、彼がドリブルで仕掛ける間に相手の3バックがペナルティエリア内に戻ってしまう。ベトナムがデフォルトの状態であるならば、戦局次第では、起用はないかもしれない」

__オマーン戦で起用が高いと思う理由はどうしてですか?

「オマーンは4-3-1-2なのでサイドが空いていて、そこにボールを通してもそんなに気にせず固めているところがあるので、三笘選手が仕掛ければ、5バックとは違って仕掛ける相手がサイドバックになりますよね。サイドバックが対応してきた時に一人かわせると思うので、そこをかわした時には、4-3-1-2のシステムの場合はセンターバックが出てくるしかなくなる。

そうなればゴール前にCB一人しかいなくなるので、そこにアンカーが後ろを締めてくる可能性がある。そこをあえてやらせて、マイナスにボールを送り込んだら、日本の選手がフリーになる、ということが簡単に描きやすい」

 

 ベトナム戦の岩政氏の予想だったが、その言葉通り、三笘はベトナム戦では出場せず。三笘の初陣は、柴崎岳との交代でオマーン戦の後半頭からということになった。そして、後半開始直後から積極的にドリブルで仕掛け、81分の伊東純也の決勝ゴールをアシストしたのだ。

(プロフィール)
いわまさ・だいき 1982年1月30日、山口県生まれ。1997年に山口県立岩国高等学校に進学。2000年には東京学芸大学へ一般受験で入学し、同大サッカー部へ入部。大学1年時には関東大学リーグ1部の新人王に輝き、2年時にはアテネ五輪を目指すUー22日本代表にも選出された。2003年5月にはFC東京の特別指定選手となる。2004年に鹿島アントラーズへ入団し、2013シーズンまでプレー。2014年にタイのBECテロ・サーサナFC(ポリス・テロFC)へ完全移籍。2015年~2016年までファジアーノ岡山でプレーし、2017年には東京ユナイテッドFCに選手兼コーチとして加入。2018年10月に現役引退を発表し、現在は上武大学サッカー部の監督やサッカー指導者として活躍している。2021年9月に著書『FootBall PRINCIPLES-躍動するチームは論理的に作られる-』を上梓。

『FootBall PRINCIPLES-躍動するチームは論理的に作られる-』書影
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