■補強期間の“直接対決”で敗戦

 しかし、輝きを放ったのは恐らく1試合だけだ。

 それは、コロナによる中断後の湘南戦。前向きの守備から素早く攻撃に転じ、チャンスをいくつも作り出した。

 開幕戦の名古屋戦ではまだまだ整備されていない部分が目立ったが、“次戦”の湘南戦は新生・仙台を夢見させる内容だった。ただし、先述したように、これ以降で輝きを放つことはなかった。11月には、優勝争いを繰り広げるG大阪を相手にアウェイで4-0の大勝を果たしたものの、将来性を感じさせるものではなかった。

 それまでに進歩なき負けを繰り返したチームは心身ともに疲弊。所属選手の不祥事もあって、難しい時期を過ごした。関係者によれば、「チームの求心力に影響するようなやり取りが、不祥事が起きた直後にあった」ことも原因だという。

 さらに債務超過の可能性も露見し、チームに対する視線は厳しいものとなった。そして、この負のイメージが21年シーズンにまで引き継がれることとなる。

 木山監督の後任を、仙台の“黄金時代”を築いた手倉森誠監督に任せることによって乗り切ろうとしたものの、補強はうまくいかなかった。Jリーグ関係者は、「仙台がオファーを出して断られた選手はかなりいて、指揮官の望むスカッドが用意されたとは言い難い。しかも、残留を争うライバルとオファーを出し合った“直接対決”で、ライバルチームに移ってしまった例もあった」というのだ。

 そもそも、前年の最多スコアラーの長沢駿を大分に移籍させてしまっている。シーズンを前にした段階で、黒星ばかりが続いた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4