■伊藤が同じポジションの阿部から学んだこと

 また、ボランチを務める伊藤は、引退を発表した阿部とも同じポジションという意味で共通項がある。特に、シーズンの序盤は、阿部と伊藤がダブルボランチを組む機会も多かった。

 伊藤はベテランの阿部から、プレー面でも精神面でも大きな影響を受けたという。

「阿部さんはシーズンの最初のころはボランチで一緒にコンビを組むことが多く、近くでプレーしていましたが、サッカーでは危機察知能力やポジショニングなど、見て学ぶことが多かった。でも、自分としては、ピッチ外の方が学ぶことが多かったと思っています。毎日のトレーニングに対する姿勢、準備をする大切さ。こういう選手が長くこの世界で戦っていけるんだと身近で感じた。そういった部分を自分も見習っていきたいです」

 と、ピッチの近いところで偉大な先輩とプレーしたことで、多くの学びがあったようだ。

 伊藤は最後に、「阿部さんはレッズでキャプテンとして長いシーズンを戦ってきて、自分も去年までは一人のファンとして見ていた。そういった選手が引退することは、本当に悲しいことですが、阿部さんのような選手に自分もなっていきたいですし、良いお手本にしていきたいです」と話し、会見を締めくくった。その表情には、自分がこれからのチームを引っ張っていくという覚悟がにじんでいた。

 変革期を迎えた浦和。新たなチャレンジを繰り返しながら今シーズンに積み上げてきたものも形になりつつある。残るは、リーグ戦2試合と天皇杯。来季のACL出場権をつかみとり、長年、浦和を牽引してきたレジェンドたちと共に、有終の美を飾りたい。

 

■試合結果

浦和レッズ 2―1 横浜Fマリノス

 

■得点

18分 伊藤敦樹(浦和レッズ) 

48分 田中達也(浦和レッズ)

85分 レオ・セアラ(横浜Fマリノス)

  1. 1
  2. 2
  3. 3