アーセン・ベンゲルも後押ししたイタリアメディアの提言【レフェリーの試合後会見は可か否か】(2)の画像
現在、審判に反論の場は設けられていない 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)

 レフェリーは、サッカーになくてはならない存在である。しかし、時には厳しい批判にさらされることもある。
しかも、一切の反論を許されずに。
サッカーの一部であるレフェリーとともに、いかに進歩していくべきか。サッカージャーナリスト・大住良之が一石を投じる。

■イタリアで発生した「事件」

 10月下旬のイタリアで、いきなり「審判も説明責任を果たせ」と論議される事件が起こった。1つの節で、なんと4人もの監督が「退場処分」、すなわちレッドカードを突きつけられたのだ。ASローマのジョゼ・モウリーニョ、ナポリのルチアーノ・スパレッティ、インテル・ミラノのシモーネ・インザーギ、そしてアタランタのジャンピエロ・ガスペリーニである。このうちモウリーニョとスパレッティは同じローマのピッチに立っており、前者が後半36分に2枚目のイエローカードを出されてベンチから追い出されると、後者は試合終了後に一発レッドカードとなった。試合は0-0の引き分けだった。

 試合後、記者たちの前で口を開き、言いたい放題なのが監督たちだ。スパレッティは、「主審に『よくやった』と言っただけだ」と語った、しかし映像を見ると、試合後のピッチ上で、彼は明らかに判定への不満を唱え、聞き入れないと見ると、両手を叩きながらその言葉を出している。主審に対する侮辱行為であることは明白だ。しかし主審は当然のように沈黙を守る。こうした事態に、いくつものイタリアのメディアが、「主審も試合後に会見に応じるべきだ」と主張したのだ。

 その主張に力を与えたのが、現在は国際サッカー連盟(FIFA)の「グローバル・フットボール・ディベロップメント」部門の長を務めるアーセン・ベンゲルである。その前の週、フランスで行われたレフェリングに関する国際会議で、「レフェリーも試合後の記者会見を行うべきだ」と語ったのだ。「判定についてあれこれ言われる前に、明白な説明をすることで、問題になるのを避けられるはずだ」と、彼は話した。

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