■万全の状態ではなかった名古屋
しかも、名古屋はけっして万全の状態で戦うことができたわけではない。
名古屋にとって、ルヴァンカップ決勝は10月に入ってから7試合目だった。
10月の代表ウィークの間にルヴァンカップ準決勝2試合を戦った後、韓国に飛んでACL準々決勝を戦い(しかも、会場は韓国の中では移動に時間のかかる全州=チョンジュだった)、帰国後は新型コロナウイルス感染症対策で自主隔離を余儀なくされ、その後リーグ戦の第33節ではJ1リーグで3位争いの直接対決となるヴィッセル神戸戦があり、天皇杯準々決勝とルヴァンカップ決勝で、中2日、中2日の日程でセレッソ大阪との連戦となったのだ。
また、ベテランDFでフィッカデンティ監督の信頼も厚い丸山祐市は5月以来長期離脱中だし、守備的MFとして守備面で貢献してきた米本拓司も手術を受けてやはり戦線を離脱している。
そうした連戦の疲労や主力選手不在の影響は間違いなく大きかったようだ。
9月26日の大分トリニータ戦に1対0で勝利して、シーズン19試合目の無失点試合というJ1リーグ新記録を達成した名古屋だったが、10月に入ってからは天皇杯でのC大阪戦までの6試合でクリーンシートを達成した試合は1試合もなかったのだ。
しかも、ルヴァンカップ準決勝セカンドレグのFC東京戦で2失点して以来、名古屋は複数失点が続いていた。浦項スティーラーズとのACL準々決勝では後半だけで3失点。J1リーグ第33節の神戸戦も終盤に2失点して追い付かれ、さらに天皇杯準々決勝ではセレッソ大阪相手に3失点……。
堅守を誇る名古屋としては、不本意な、不甲斐ない戦いが続いていたのである。