近年にない不振に見舞われたバルセロナは、ついに決断を下した。ラ・リーガ第11節のラージョ・バジェカーノ戦に敗れた後、ロナルド・クーマン監督を解任したのだ。
数年前ならば考えられないような状況に陥っているが、クラブには何も残されていないわけではない。クラブが礎としてきた、自前の育成選手たちである。
経済的な問題が、現在の苦境に直結している。だが視点を変えれば、バルセロナの違う未来が見えてくる。
■グアルディオラに引退を予感させたイニエスタでさえも…
アンドレス・イニエスタは2002-03シーズンにトップデビューを飾った。シャビ・エルナンデスと同様に、ルイ・ファン・ハールの手でトップチームの試合で初めて公式戦出場を果たしている。
カンテラ時代のイニエスタのプレーを見て、グアルディオラがシャビに「君が僕を引退させることになるだろう。だが、あの少年が我々を引退に追い込むかも知れない」と語ったという逸話がある。それほどのタレントを有するイニエスタでも、トップでレギュラーになるまでには数年を要した。
イニエスタがレギュラーポジションを確保したのは2004-05シーズンだ。フランク・ライカールト監督のチームで、出場機会を確保した。
バルセロナでの競争は激しかった。シャビ、デコ、エジミウソン、マルク・ファン・ボメルと各国の代表級の選手が揃っていた。2005-06シーズンにはビッグイヤーを獲得したが、チャンピオンズリーグ決勝では先発から外れて悔しい思いをしている。十数年にわたりバルセロナのトップでレギュラーとして活躍し続ける、というのは、イニエスタでさえ成し得ないことだった。