後藤健生の「蹴球放浪記」第82回「山盛りのキャビアをたらふく喰らう」の巻(1)サザエさん家のあの子の名前はロシア由来だったの画像
イランでのワールドカップ1次予選のADカード 提供:後藤健生
■【画像】判読は相当に困難なイラン対シリア戦の入場券

 サッカーあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。2018年のロシア・ワールドカップは、日本が初めて突破したフランス大会アジア予選を思い起こさせた。2つのワールドカップをつないだのは、「黒い卵」だった。

■「イクラ」ではなく「イクラー」

 イクラはお好きでしょうか?

「イクラ」とは、サケやマスの卵のことです。もう少し詳しく言うと、魚卵を包む「卵巣膜」を取り除いて、卵の一粒一粒をバラバラにしたものがイクラ。そして、膜に包まれたままの状態のものが筋子(すじこ)というふうに区別するんだそうです。

 日本では、もともとバラバラにして食べるという食習慣がなく、大正時代にバラバラの卵を塩漬けにするという食べ方が伝わってきたときに、筋子と区別するためにロシア語の「イクラ」という言葉が使われるようになったといいます。

 まあ、よくあることですが、言葉の意味としては大きな誤解だったようで、ロシア語では魚の卵はすべからく「イクラー」と言うのですが、日本人はバラバラにしたサケの卵のことを指す言葉だと誤解したらしいのです。

 そう、ロシア語ではサケの卵でも、タラの卵(つまりタラコ)でも、チョウザメの卵(つまりキャビア)でも、魚の卵はすべて「イクラー」というのです。

 そして、ロシア語ではサケの卵のことはとくに「赤イクラー」、キャビアのことはとくに「黒イクラー」と呼んで区別しているんだそうです。

……ということは、知識としては知っていました。

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