鹿島の土居聖真は今にも泣き出しそうな顔で上田綺世に抱きついていた。
「カウンターでみんな力強く前に出ることができました。ボクはちょっと遅れていたんですけれど、カイキがファーに入ってくれたのでマイナスが空きました。一発で決められれば良かったんですが、その後もよいところにこぼれてきて決めることができました」(上田)
上田の3試合連続、シーズン13点目のゴールが決勝点になった。土居からのボールに、一振り目は相手に当たってしまったが、弾けて来たボールを落ち着いて左足で入れた。
「お互いの特徴を理解しているからこそ、息があった部分もあったと思います。ボクが推進力をもってサイドに出るというところを、聖真君は逆に生かしてくれたというか、前半、聖真君が外してしまったシーンもそうだし、たぶん、ボクが縦に行くことをわかって入ってくれていると思う。それをうまく利用してくれたんじゃないかと思います」(上田)
10月2日のホームでの横浜FC戦で一部サポーターのルール破りやその処分決定でごたごたがあった後、3週間ぶりの試合だから、チームは勝ちに行くしかなかった。
「暴動とか、そういうのはよくないと思いますけれど、あれがサポーターの今の感情だと思う。それを変えられるのも体現できるのもボクらなので、サポーターとクラブどうこうというよりも、まず、選手が試合に勝たないといけない。きれいなサッカーをしても仕様がないので、何が何でも勝とう、と準備期間でやってきましたので」(上田)