■頭上から落ちてきた体調1メートルの爬虫類

 日本が所属していたグループAは首都のキトが会場でしたから、グループリーグの間、僕はキトに滞在していましたが、準々決勝のガーナ対ポルトガル戦を見届けた後、8月13日に太平洋岸の港町グアヤキルに移動しました。

「エクアドル」というのはスペイン語で「赤道」という意味です。エクアドルで赤道を見に行った話は「蹴球放浪記」の第62回「世界の中心で……何も叫ばなかったな」の巻でご紹介しました。

 首都のキトは、赤道直下でありながら標高2800メートルの高地にあるので、1年中快適な気候に恵まれていますが、太平洋岸のグアヤキルはもちろん海抜ゼロ・メートルの熱帯です。熱帯地域の低地は感染症などが多い場所だったので、南米の文明はアンデス山脈の高地に花開いたのですが、現在はキトよりもグアヤキルの方が人口が多くなっています(ともに約200万人都市)。

 気候はまったく違います。

 キトでは長袖を着ていても朝夕は肌寒さを感じていましたが、グアヤキルは1日中暑く、最高気温は38度くらいに達します。

 動植物もまったく違います。

 ある時、グアヤス川のそばの公園のベンチに腰かけていると、背後でドスンという音がしました。「何が落ちてきたのだろう?」と思って振り向くと、そこには体長1メートルほどのイグアナがいたのです。どうやら、木の上から落っこちてきたようです。それで、木の上をよく見てみると、同じような大きなのがウジャウジャたむろしていました。木の葉と同じような保護色だったので、気が付かなかったのです。

 イグアナといえばエクアドル領ガラパゴス諸島が有名ですが、イグアナは中南米各地の熱帯地方にいる爬虫類で、とくに珍しいものではありません(ガラパゴス諸島では各島に固有種が進化しているので有名なのです)。大きくてビックリしてしまいますが、大人しい草食動物なので危険はまったくありません。

(2)へ続く
PHOTO GALLERY 公園で見かけたイグアナ
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