■観客動員に苦しむFリーグ

 松井大輔は、フランスなどヨーロッパのいくつもの国で活躍し、2019年から横浜FCでプレーした後、2020年12月にベトナムのサイゴンFC入団が発表されたが、ベトナムでは新型コロナウイルス感染症が拡大したため、リーグ戦(Vリーグ)は中断してしまったという。

 そして、9月になってFリーグのYSCC入団が発表されたのだ。

 元Jリーガーでフットサルに転向してFリーグでプレーした選手は何人もいる。Jリーグの湘南ベルマーレでDFとしてプレーした島村毅も、つい最近になってFリーグの選手として現役復帰を発表した(この日はベンチ入りせず)。

 だが、日本代表としても長く活躍し、2010年の南アフリカ・ワールドカップで日本代表のラウンド16進出にも貢献した松井は、これまでFリーグでプレーした元Jリーガーの中でも最も大物ということができる(三浦知良がスポットで参戦したことはあるが……)。

 2007年に日本初のフットサルの全国リーグとして発足したFリーグ。発足当初はそれなりに注目を集め、観客動員数も次第に伸びていったのだが、2014/15年シーズンをピークにその後は観客動員の長期低落傾向が続いていた。そして、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大によって無観客開催も余儀なくされ、リーグの経営も危機的状況にあると言われ、このままではFリーグの存続自体が難しくなるのではないかと危惧されている。

 その結果、選手のプレー環境の改善も進まず、若手の有望選手がプレーを続けられないような状況も生まれていると聞く。

 人気回復と経営環境の改善が望まれるところだが、緊急事態宣言が解除されても観客動員数を急速に回復させることは簡単ではなさそうである。

 そんな中で、松井の入団発表によって大きな注目を集め、多くの観客が詰めかけたことは、Fリーグの将来に対して何かを示唆しているような気がするのである。

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