■長谷部の偉大さを示したワンシーン
大住「あとは説得して、長谷部誠に来てもらうとか。『日本のピンチだから、助けてくれ』って」
後藤「そうだね、ベンチに座っているだけでもいいよね。あとは家長昭博。最近の家長は、また一段とすごい。右サイドに人がいないなら、家長を呼べばいい。ボールが入ったら、絶対にポイントをつくってくれるから」
大住「23人登録して、ベンチに12人おいておけるんだよね。その中に長谷部がいたっていいんじゃない? 試合を締めてくれ、って最後の交代で出したりさ。すごく試合の流れを読む力を持っているし」
後藤「今、どういうプレーが必要なのか分かっているし、それを周りの選手にきちんと伝えることができる」
大住「浮き足立っているのかなど、チームが今どういう状態なのか全部理解して、ちゃんと締める。
ウズベキスタンとの試合前だったかなあ、チームがピッチに出てきてウォーミングアップを始めようとしたとき、キャプテンの長谷部がすぐに選手を集めて円陣を組んで話したことがあったんだよね。何を話したんですかって聞いたら、言おうか言うまいか迷っていたけど、『ロッカールームの雰囲気が浮足立っていた。これはワールドカップ予選なんだぞ、と言って引き締めた』と言っていたけど。そういうことができるのは彼だけだよね」
後藤「9月のオマーン戦の時に、せっかく時間ができたのに選手同士が何も話をしていないことを指摘したけど、長谷部がいたらそんなことはあり得ない」
大住「今回のサウジ戦の失点直後にも、長谷部なら切り替えようとか抽象的な話ではなく、そこからどうすべきかをちゃんと皆に話していたと思うよ。長谷部は代表から退くと自分で決めたわけだから、ちゃんとお願いして来てもらわないといけないね」
後藤「この試合だけでいいですから、って重要な試合に限定してでもね」
大住「覚悟について話をしたけど、そういう面からも、やはり必要だなと思う人だよね。プレーの面でも十分に役立つだろうし」
後藤「長谷部がいたら、監督も落ち着いていられるよ。じゃあ長谷部を監督にしちゃえばいいんじゃない? 今、監督を代えたとしても、新しい選手を呼んで新しい戦術で戦う準備をする時間はない。集まった翌々日には試合をして、すぐに解散をするという繰り返しだから。一番重要なのは、気分を変えることですからね。まあ、長谷部はあくまで選手だから、それは冗談だとしても、日本代表にいてくれれば落ち着きをもたらしてくれるでしょう」
大住「きちんと話せば、長谷部なら来てくれるような気はしますね。そうしたら皆、へらへらしていられないでしょう」