サッカー日本代表は10月7日深夜にアウェイでサウジアラビア代表と対戦し、0-1で敗れた。ホームでのオマーン相手の黒星発進に続き、3試合で早くも2敗目を喫した。
日本代表の現状、そして未来は――。取材歴50年を超える大住良之、後藤健生、2人のサッカージャーナリストの激論は、普段以上に熱がこもった。
―現状では、オーストラリアに勝つのは難しそうでしょうか。
後藤「いやいや、そんなことはないでしょう」
大住「もちろん可能性はゼロじゃないけど、この攻撃でどうするの、という感じ。帰国してから月曜日までの練習で、どれだけ攻撃の質を上げられるかを考ると、ちょっと難しいかな。守備は良いわけだから、今回のようなミスや失点をしないで、何とか1つ、2つのチャンスをものにするという気持ちがないとダメだよね」
―心構えも大事ですか。
大住「サウジアラビア戦が始まった瞬間から、すごく感じていたことがあって。今回の予選で一番大事な試合だと皆が言っていたけど、なんだか覚悟が足りないような感じがする。例えば、ファウルを取られたらレフェリーに文句を言って、ファウルされたらアピールする。そんなことしている場合じゃないだろう、と思うんだけど。
1997年のワールドカップ予選の、追い詰められたウズベキスタン戦では、少なくともあんな態度は見られなかった。ファウルしたらすぐに次のプレーに切り替えていたし、主審にファウルのアピールをする選手なんていなかったよ。笛が鳴ったら判定は変えられないんだから。勝たないといけないなら、切り替えないといけないでしょう? 文句言って勝てるならいいけど。それが本当の覚悟だと思う。今回の試合では、最初からどの選手も審判にいちいち文句を言っていた」
後藤「僕は別に、主審に文句を言うのは良いと思うけど」
大住「良い悪いじゃなくて、勝たなきゃならないなら、笛が鳴った後に何を言っても始まらない、次に集中しなきゃ、っていうこと。何か言ってもいいけど、足は後ろに向いていて、自陣に向かって走っているとか、次のマークする相手を探しているとかさ。本当に覚悟があるならそうなると思うんだけど。
結局、1点取られた後で攻撃がまとまらないというのは、焦りが出るからなんだよね。だから攻撃がまとまらないし、パスが合わなくなる。こういう精神論的なことを言うようになったらおしまい、と言われるかもしれないけど。だけどそのベースがなければ、絶対に勝つと言ったところで、ただの戯言だよ」
後藤「ゲームマネジメントとして、こういう暑い状況での駆け引きも必要なんだと僕は思っている」
大住「僕には駆け引きには見えなかった。ただ、普段の癖でやっているだけで、本当にどんなことがあっても耐えしのいで勝つという気持ちがあったら、あんな態度にはならないと思うな」