■サウジアラビアが日本に学んだ育成の重要性
―スタジアムの音もすごかったみたいです。
大住「中東では普通。いわゆるサッカーのリズムじゃないけど、日本代表の選手なら分かっているでしょう」
後藤「ヨーロッパでプレーしている選手は、もっとすごいダービーとか経験しているんだから」
大住「変だけど、圧力があるわけじゃないよね。サウジはレベルが高くて、今回と同じようなプレーを日本での試合でもできるチーム。ああいうホームの雰囲気だから勢いづいた、というのではない」
後藤「今回のサウジは相当良いチームだね。今まで見た中でも一番良いくらい」
大住「昔のサウジは、暑いところでトレーニングしているから、『ドロ~ン』としたサッカーをして、個人技で勝負するしかない、というチームだったけど、変わったね。チームとしてやるべきことがすごくはっきりしていて、それをちゃんとやる選手がそろっているよね。最後まで日本のGKにプレスをかけ続けたものね」
後藤「サイドバックもあれだけ攻撃するのに、絶対に穴をつくらなかった」
―エルベ・ルナール監督の手腕が大きいのでしょうか。
後藤「監督もそうだけど、サウジ全体が進歩しているんだろうね。いくら監督がやらせようと思っても、簡単には変わらないから」
大住「アル・ヒラルも代表チームに近いサッカーをやっていたよね。サウジアラビアのサッカーって、こういうインテンシティの高いプレーを続けることができなかったんだけど、ここ4、5年でできるようになってきた。選手を計画的に育ててきた結果だと思う。5、6年前にサウジのテレビ局が、日本のサッカーの大特集を組んで、日本はなぜ育成が良いのかというテーマで取材に来ていた。サウジアラビアは大したことないと言われていたけど、今は全然そんなことない」
―アジアのライバルが強くなっているのですね。
大住「それでも、日本代表が本当に良い状況にあれば、むざむざとやられることはないと思う」
後藤「今回も、むざむざとやられたわけじゃないでしょう。アウェイで互角に戦ったんだから。もう少し前がしっかりしていればねえ。点になるかどうかは別として、もう少し点を取る形をつくれていれば、守備陣の負担も随分違ったはず」