サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、「大会のシンボル」。ワールドカップのポスターについて、サッカージャーナリスト大住良之がひも解く。
ことし9月10日、日本サッカー協会(JFA)は創立百周年を迎えた。昨年来のコロナ禍で派手なイベントや記念試合などは行うことはできなかったが、どんな分野でも100年続くのはすごい。心からお祝いを言いたいと思う。
だが、「百年やっていて、まだこのポジションか」とも思う。2002年には韓国との共同開催でワールドカップのホスト国となり、1998年以来ワールドカップ6大会連続出場、アジアでは間違いなくトップクラスのひとつとなった。Jリーグも、1993年の8府県10クラブから2021年には40都道府県57クラブにまで成長した。しかしワールドカップで上位を争うまでには至っていないし、「世界の強豪のひとつ」にはほど遠い。
100年間を振り返ると、まず太平洋戦争における長い競技停滞期があった。それを取り戻すために、戦争が終わってから東京オリンピックまでの20年間近い歳月を必要とした。またプロ化までに時間がかかったのも発展の妨げになった。日本体育協会(現在の日本スポーツ協会)の厳しいアマチュア規定にしばられ、プロ選手の導入が1980年代半ばまで遅れ、完全プロ化が1993年、JFAが誕生してから72年も経てのことだったのが日本サッカーの発展阻害の最大要因であったことは、その後の急成長を見れば明らかだ。