■ゾーンとマンマークそれぞれの利点
では、守備のCKについて、山内さんはどんな決め事をつくっているのだろうか。
「僕の考えでは、徹底したマンマークです。ボールウォッチャーにならず、自分のマーク相手を手の届く範囲に置く。通常の守備ではボールがどう動くのか、相手がどう動かそうとしているのかを見るのがとても大事なのですが、CKの守備では、ボールよりも、ラインを上げることよりも、相手をフリーにしないことが大事だと思っています」
この話を聞いていた片山博義さん(千葉県リーグ1部房総ローヴァーズ木更津FC監督)は面白い表現をした。
「サッカーボールは勝手にゴールにはいってはいかない。ボールをゴールに入れるのは人なので、人をつかまえておけばいい。山内さんから教わったこの考えを徹底したことで、リスタートだけではなく、オープンプレーでクロスがはいってくるときのマークの意識が格段に変わりました」
山内さんはさらに説明する。
「CK時のマンマークの守備にも、そして最近増えているゾーンの守備にも、メリットとデメリットがあります。2019年の岐阜はJ2でしたが、『ストーン』を2人ではなく、3人置いてやっていました。いちばんヘディングの強い3人をニアポストに並べたのです(図3)。あとは徹底したマンマークです。ゾーンとマンマークのメリットを合わせたやり方でした。懸念点はマークしきれない相手が出てくることでしたが、リスタートからの失点率はとても低かったはずです」