■セカンドボールにも約束事

「CKやFKなどのセットプレーはチャンスではあるけれど、その一方で、センターバックをゴール前に上げるなど、守備のポジションは大幅に崩れています。そのためカウンターを受けやすい。そのカウンターで失点してしまったら、それこそ2点分の損失になってしまいます。私が岐阜でリスタートのトレーニングを始める前、岐阜はCKのチャンスから何度もカウンターアタックを受けてピンチになっていました。それを防止すること、攻撃のリスタート時の『リスク管理』は、トレーニングの重要なテーマでした」

「だから、CKでは、とにかく『やり切る』ことを意識させました。シュートを打つ、ゴールキックになっても、相手のスローインになってもいい。最悪の場合は、ファウルが必要なときもあるかもしれない。絶対に相手にカウンターアタックを許すような状況をつくってはいけない。だからセカンドボールを大事にしました。エリア内でボールに合わせようとする選手を5人に限定したのは、まさにそのためです」

 具体的には、ペナルティーエリア外、相手のクリアがきそうなところに2人か3人選手を配置する(図2)。そしてこぼれ球(セカンドボール)を拾う確率を高める。

山内さんは、このセカンドボールをどうするかの約束事もつくった。

図2

「セカンドボールは、できればワンタッチで、多くてもツータッチ目でファーサイドに入れると決めました。これがチームの共通理解になれば、いちばんヘディングでゴールを決める可能性が高い3番、4番の選手がファーポスト側に回ってボールに合わせようとします。

 その動きに対応して、つぶれ役の1番、2番も動き直して、またニア側に走って相手の注意を引きつけます。うまくファーサイドにボールがはいったら、この1番と2番をマークすべき相手チーム選手はボールとマーク相手を同一視野で見ることができず、『ボールウォッチャー』となっているので、大きなチャンスができるはずです」

  1. 1
  2. 2
  3. 3