■決して「惑星」ではない選手たち

 C・ロナウドが前線でゴールに集中できたのは、ブルーノ・フェルナンデスの攻守にわたるサポートがあったからだった。終盤に入り、ゴール前に走り込めるようになっていたのは、エディンソン・カバーニが投入されたからだった。

 快く背番号7を譲り渡したアタッカーが献身的に走るからこそ、C・ロナウドに監視から逃れる自由が与えられたのだ。また、C・ロナウドが走り込む裏にカバーニが入る場面もあった。

 やはり交代出場したネマニャ・マティッチは、ポール・ポグバのような幅広い動きはしないが、ボールを自在に走らせる。走力があるカバーニとの相性は抜群で、明らかな変化をピッチにもたらしていた。ベンチに至るまで、面子はそろっているのである。彼らは決して、「惑星」ではない。

 計算違いだったのは、出場停止のアーロン・ワン=ビサカに代わって右サイドバックに入ったジオゴ・ダロトか。サイドに流れるアルノ・ダンジュマにことごとく1対1で負けていた。だが、そのピンチさえも、輝きに変えたのがダビド・デヘアである。前半から見せた再三の好セーブがなければ、マンチェスター・ユナイテッドは痛い星を落としていたはずだ。

 このように、マンチェスター・ユナイテッドはスターぞろいである。この夏に8500万ユーロ(約110億円)で獲得したジェイドン・サンチョ、移籍金4000万ユーロ(約52億円)でやって来たラファエル・バランも、この試合で先発のピッチに立っていた。

 豪華絢爛な布陣である。その分、オレ・グンナー・スールシャール監督にかかる重圧は増していく。

 果たして、選手たちのベストを引き出しているのか。スールシャール監督には疑問が突きつけられ続けている。決勝点を挙げたC・ロナウドは、「今日勝ち点3を手にできていなかったら、次のステージへ進むのは厳しくなっていただろう」と話している。

 CL黒星スタートの汚名は雪いだが、自分たちの実力を結果で証明し続けなければならない。それこそが、スター軍団の宿命である。

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