■急造システムのネガティブ部分
川崎は、昨季から4-1-2-3のシステムを採用していたが、この試合は4-2-1-3でスタートした。前節・鹿島戦でもこの形を途中から用いていたが、それはピッチ上での対応のためであった。しかし、湘南戦では開始時点からであり、その持つ意味は違う。つまり、かつてと同じ戦い方ができないことを示しているからだ。
先発メンバーも前節・鹿島戦から7人を変更した。主力2人が海外移籍をして、ただでさえ新たなチーム作りを余儀なくされている。そのうえ負傷者が続出し、選手が徐々に戦線に戻ってきたとはいえ、コンディションには差がある。今季序盤と同じ戦い方をしろというほうがムリというものだ。
トップ下には、センターフォワードが本来のポジションである知念慶が入り、1トップの小林悠と縦の関係を組んだ。ダブルボランチの一角を、センターバックの谷口彰悟が務めた。システムだけでなく、選手の立ち位置にも手が加えられた。苦しい環境で連戦を戦わなければならない川崎の、それでも勝ち抜こうとするプライドをにじませた選択だった。
ところが、先制したのは湘南だった。15分、右サイドから折り返されたボールを押し込まれたのだ。いつもであれば機器察知能力が働くはずの谷口が、ボールを見送っての失点だった。慣れないシステムのネガティブさを露呈してしまった。