■写真から読み取れる大迫
大迫がボールを受けて、相手の寄せをものともせず前を向き、強さを見せて進む。その時にらしさが発揮されているのは間違いなかった。しかし写真を見てみると、全身が写っているものばかりだった。しかも、縦位置ではなく横位置(横長、カメラを普通に構えた状態)の写真で。
ゴール裏から撮影していると、大迫のプレーで全身が写るのは相手の攻撃を撮っている時が多い。たとえばこの試合ならば、後半に清水の攻撃を撮っていると、ヴァウドや竹内涼を背負ってボールを受ける大迫を撮ることができた、という具合だ。このパターンはハーフウェイライン付近から敵陣に入ったあたりのシーンなので、余裕で全身が入る。
この日使っていた望遠レンズは500mmで、被写体がペナルティエリア手前まで来ると横位置では全身が入らなくなる。
日本代表で上手くいっている時、ボールを持ってプレーする大迫の写真というのはそもそもあまり撮れない。長い望遠レンズで横のまま、という条件を付ければそれはさらにぐっと少なくなる。
この試合では、もちろんコーナーキック時に上半身だけ大きく写ることはあったが、前半、流れの中で大迫がボールに絡んでいる写真はことごとく横位置のまま全身が写っていた。つまりそれだけプレー位置がゴールから離れていたということになる。
1つ1つのプレーでらしさを見せているのにゴールが遠かったのは、ゴールまでの距離そのものが遠かったからだ。