後藤健生の「蹴球放浪記」連載第76回「他人の金を取る気なら、ちゃんと準備してこい」の巻(1)南米編「2014年ブラジルW杯で遭遇した」ケチャップ強盗の画像
海の美しいブラジルですが、危険もあって… 写真:渡辺航滋

サッカーのあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。たとえ危険があろうとも、サッカーのためなら乗り込んでいくのがジャーナリストだ。かかってくるなら、本気で来い!というほどの意気込みで……。

 ブラジル・ワールドカップの取材のためにサンパウロのグアルーリョス空港に到着したのは、2014年6月10日の午前7時40分のことでした。朝のうちに現地に着くことができると、その日一日が有効に使えるのでありがたいものですが、なにしろ成田空港を出発してからアメリカ・テキサス州ダラスでの乗り換えを含めて到着まで25時間半。エコノミークラスでの長旅で僕は疲れ切っていました。

 早くホテルに着いてゆっくりしたいと思って、早速、空港バスに乗って都心に向かいました。そして、ヘプブリカ広場でバスを降りて住所を頼りにホテル・モンテネーヴェに向かって歩いていると、子供連れの30歳台の女性が近づいてきてこう言ったのです。

「あんさん、鞄が汚れてまっせ。拭いてあげまひょ」

 あちゃ~。早速来ましたか!

 そう、いわゆる「ケチャップ強盗」です。

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