サッカーのあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。たとえ危険があろうとも、サッカーのためなら乗り込んでいくのがジャーナリストだ。かかってくるなら、本気で来い!というほどの意気込みで……。
ブラジル・ワールドカップの取材のためにサンパウロのグアルーリョス空港に到着したのは、2014年6月10日の午前7時40分のことでした。朝のうちに現地に着くことができると、その日一日が有効に使えるのでありがたいものですが、なにしろ成田空港を出発してからアメリカ・テキサス州ダラスでの乗り換えを含めて到着まで25時間半。エコノミークラスでの長旅で僕は疲れ切っていました。
早くホテルに着いてゆっくりしたいと思って、早速、空港バスに乗って都心に向かいました。そして、ヘプブリカ広場でバスを降りて住所を頼りにホテル・モンテネーヴェに向かって歩いていると、子供連れの30歳台の女性が近づいてきてこう言ったのです。
「あんさん、鞄が汚れてまっせ。拭いてあげまひょ」
あちゃ~。早速来ましたか!
そう、いわゆる「ケチャップ強盗」です。