■国境の北側の世界最古のフットボール・クラブ

 要するに、イングランドと同じように、スコットランドでも古くからフットボールは行われていたのだ。首都のエジンバラでは1824年に最初のフットボール・クラブが結成されたとされている。FIFAが認めた公式の「世界最古のクラブ」、シェフィールドFC(創立1857年)より30年以上も古い。

 19世紀の後半になると、イングランド北部の工業地帯の労働者たちの間でFA式フットボール(つまりサッカー)や後に結成されたラグビー・フットボール・ユニオン(RFU)式フットボール(つまりラグビー)が盛んになり、多くの観客が集まるようになる。そこで、各クラブは強化のために名選手を集めようとして、選手たちに対して試合やトレーニングのために仕事を休んだ分の給料の補填など経済的な保障をするようになり、最終的には選手に給料を払うことになった。つまり、プロ選手の誕生だ。

 そして、各クラブは“国境”の北側、つまりスコットランド生まれの選手とも契約するようになる。今で言う「外国人助っ人」だ。スコットランドにはサッカーの名手がたくさんいたらしい。それもテクニシャン系が多かったようだ。

 それだけ、“国境”の北側ではフットボールが盛んだったのだろう。

 もちろん、スコットランドの工業地帯の中心地であるグラスゴーにもフットボール・クラブは設立され、当初はスコットランドの強豪もFA主催の全国大会、FAカップに出場していたが、1873年には独自のスコットランド協会(SFA)が設立された。

次の記事に続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3