■【その8 サポーター】

白と緑に塗り分けられたセルティックの本拠地・セルティック・パークの観客席(c)Y.Osumi

・熱狂的でパワフルで、フェアーな本物のサポーターたち​

 セルティックのサポーターが世界中に900万人もいるというのは、18世紀半ばに飢餓を逃れてアイルランドを脱出した人が25万人もいたことに関係する。英国だけでなく北米にも逃れた人びとの子孫は、いまや英国と北アイルランドを除いても、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどを中心に5000万人以上になると言われている。そうした人びとが、故国アイルランドのクラブ以上にスコットランドのセルティックを応援しているのは、とても興味深い。

 ジョック・ステインの言葉のとおり、セルティックのサポーターは、熱狂的でパワフルなことで知られる。「ユール・ネバー・ウォーク・アローン」の応援歌は通常はイングランドのリバプールFCが最初に歌い始めたと言われているが、実はセルティックのサポーターも「自分たちが先」と主張している。一時は英国中をにぎわす論争にもなったが、結論は出ないままだ。セルティックのサポーターが歌う「ユール・ネバー・ウォーク・アローン」も、リバプールに負けずにパワフルで、心を揺さぶる。

 2003年5月、セルティックはUEFAカップ(現在のUEFA欧州リーグの前身)の決勝に進出し、8万人ものサポーターが試合地のセビージャ(スペイン)に向かった。その多くは、入場券をもたない人だった。試合は残念ながら延長の末ポルトガルのFCポルトに2−3で敗れたが、セルティックのサポーターは騒ぎを起こすこともなく、勝者を称え、楽しそうな笑顔のままセビージャを後にした。この態度に深い感銘を受けたUEFAとFIFAから「フェアプレー賞」が送られたのは当然のことだった。

 古橋選手、いかがでしたか。あなたがプレーしているのは、こんなクラブなのです。これからも、どんな苦しいときにも笑顔を忘れず、あなたの素晴らしいプレーとゴールで「世界一のサポーターたち」を熱狂させ続けてください。

PHOTO GALLERY 【画像】壮大なスタジアム、クラブ創設者ほかセルティックにまつわる写真
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