■サッカー誕生から不変の数字
サッカーは「最もシンプルなゲーム」と言われるほどルールは少なく、それも競技誕生の19世紀半ばからあまり変わっていないように思われている。しかし19世紀の間に何回も大きなルール改正があって競技の整備が進み、さらに20世紀にはオフサイドルールの改正(3人制から2人制)があり、21世紀にはいるとゴールラインテクノロジー(GLT)やビデオアシスタントレフェリー(VAR)の導入など、けっこう変わっているのである。
そのなかで唯一といっていいほど変わっていないのが、ゴールの幅である。1863年12月に書き上げられた最初のルール(これによって近代スポーツとしてのサッカーが誕生した)の第1条に、「ゴールはピッチに直立した2本のポストで区切られ、その間隔は8ヤードとする」とされている。
8ヤードとは7.32メートルのことで、現在もゴールの幅はまったく変わらない。興味深いことに、当時はゴールに上限はなく、両ゴールポストの間であると確認できれば、どのような高さでもよかった。現在のラグビーと同じである。
だが、高くけられたボールがゴールかどうか紛糾するようになり、数年後には両ゴールポスト間にテープが張り渡され、その下を通過したものだけをゴールと認めるようにした。1866年、イングランドサッカー協会は「両ゴールポスト間、ピッチから8フィート(2.44メートル)の高さにテープを張ること」という規則をつくった。ここに、ゴールの大きさが完全に今日と同じものとなったのである。