■「ゴル、ゴル、ゴル、ゴル、ゴ~~~~ル・デ・ウルグウア~イ!!!」
テレビでやっていたコカ・コーラのCMも、そうした諦観をよく表していました。
バールで男たちが酒を飲んでいます。テレビではウルグアイ代表の試合を放映しており、客も主人も試合のことが気になって耳をそばだてているのですが、「どうせダメだよ」という顔で無関心を装っています。そして、試合の終盤、実況アナウンサーの「ゴル、ゴル、ゴル、ゴル、ゴ~~~~ル・デ・ウルグウア~イ!!!」という絶叫に合わせて、店内にいる全員が(掃除のおばさんも含めて)狂喜乱舞するというものでした。
まさに、ウルグアイ人の心情を表すリアリティーに富んだCMだったので、今でも鮮明に記憶しています。とくに、当時の日本はJリーグブームに乗って、サッカーを扱った軽薄なCMが多かったのでサッカー文化の違いを見せつけられたような気がしました。
当時、ワールドカップでも、EUROでも、コパ・アメリカでも、取材を申請するとデポジット(保証金)を取られました。「申請だけして実際には来ない」というケースを防ぐためでしょう。もちろん、デポジットは大会が終わると戻ってきます。
ウルグアイ大会でも、決勝翌日のメディアセンターには返金手続きの長蛇の列ができました。まず、受付に並び、その後、実際の手続きをする列があり、そこで書類をもらうと銀行に行ってまた行列です。しかも、どの手続きも南米らしく、きわめての~んびりとしています。決勝翌日に帰国する予定の人たちは、とうとう時間切れで諦めて帰ってしまいました。いったい、何人の人が返金を諦めたことでしょう。もちろん、僕はしっかり183ドルの返金を受けました。