■多くのことを伝えるスンテ
2人がこうしてコミュニケーションをとる姿は決して珍しいものではない。鹿島サポーターにとって、クォン・スンテが積極的に他の選手にアドバイスを送る姿はお馴染みのものだ。ただし、この日の授業はいつも以上に熱を帯びていた。
ウォーミングアップ中、前半飲水タイム、ハーフタイム、後半飲水タイム……話す機会がある度に互いに歩み寄り、時間の許す限り話は続いた。試合中に気づいた些細なことをその場で全て伝えることでチームの勝利が近づき、試合を通じた成長も加速されるのだろう。
昨シーズン、クォン・スンテは第7節までゴールマウスを守っていた。ところが第8節の大分戦で曽ヶ端準がスタメン、沖がサブに入りベンチを外れると、続く第9節では沖がデビュー。以来、クォン・スンテのリーグ戦での出番はゼロだ。沖はデビュー直後に体調不良で離脱したものの、そこでスタメンに名を連ねたのはこちらもJ1初出場となった山田大樹だった。