■2002年からあっという間に20年

 旧国立競技場は、1958年に竣工し、1964年の東京オリンピックのために大改修されてから半世紀使われ、2014年に取り壊された。だが東京オリンピックから30年後の1990年代半ばには完全に時代遅れのスタジアムになっていた。「聖地」などと祭り上げられてはいても、2002年ワールドカップの使用スタジアムの候補にもならなかったのはそのためだ。

 ピッチの大きさは、100年前もいまも68メートル×105メートルで変わらない。しかしスタジアムそのものは、それぞれの時代とともにあるべきだ。それぞれの時代の要請に応じ、観客がより苦痛を感じず、快適に観戦を楽しんでもらえるような施設でなければならない。スタジアム内の諸施設に求められる要件も時代とともに刻々と変わっていく。2002年のワールドカップ時に、全観客が使用できる無線LANが必要だなどと誰が考えただろうか。

 ファンに夢を与え、「あそこでサッカーを見たい」と思わせるには、誇りにできるスタジアムでなければならない。機能、デザインとも、さまざまな最新のアイデアを盛り込み、時代の最先端を行くものにしなければならない。

 だが同時に、そのスタジアムが「誇り」である期間はそう長くはないことも、みんなが知っておかなければならない。「30年賞味期限説」を踏まえたうえで建設計画をたて、建設から20年も経ったら、「次代のスタジアム」のプランを練り、動き始めなければならない。

 2002年ワールドカップで使用されたスタジアムは、埼玉スタジアムと同様、2001年に完成したものが多い。そろそろ「次代のスタジアム」の計画を練り始めなければならない。

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