■「日本の女子サッカーにポテンシャルは間違いなくある」
―確かにチームがまとまりきらなかったですね。
後藤「けどスウェーデンを相手に、良い時間帯は、それなりにパスを繋いで攻撃ができたわけだからね。日本の女子サッカーには、ある程度のポテンシャルは間違いなくあるんだよ。だから、自分たちのストロングポイントをどう活かすか、そして足りない部分、たとえばフィジカルコンタクトをどう強くしていくか。そこらへんが分かった大会ではあったね」
大住「あとは全体に攻撃のテンポが遅すぎるし、パスの回るリズムが遅い。全部が全部、パパパパーンって繋げるわけはないんだけど、でも、パンパンパーンっていう所がいくつかは入っていかないと。そして、最後のところにパンパパーンのようなリズムが入っていかないとさ。相手のほうが身体の大きさや足の速さは上なんだから、そこらへんで対抗していかないと絶対無理だよ」
―コンビネーションの問題ですか?
後藤「だからコンビネーションと言っても、きれいにパスを回すことに注力しすぎて、それに特化しちゃった。それでガラパゴス化しちゃったのが、いまの現状なんじゃない」
大住「1回1回ボールを止めてパスを回しているでしょ?そうなると相手は守るのが楽だよ。どこに出てくるのか読めれば、身体を寄せちゃえば取れるんだから。いっぽうで、こっちはスペースを作る動きもない、そのスペースを使うこともない、そしてスペースへのパスもない、こんな現状では攻撃なんかできないよね」
―選手たちは、そういったコンビネーションができそうなポテンシャルはありますか?
大住「うーん……どうかな」
後藤「前にも言ったけど、セレッソ大阪堺レディースは、それができるんだよ。男子のサッカーのように、スペースを突くパスがポンポンと出ている。そういう方向を、これからは一生懸命に追求していかないといけないのでは、と思いますけどね」
大住「たとえば、この間の対談では永里優季が話に挙がったけど、宇津木瑠美も、高倉麻子監督になってからずっとチームにはいたけど、最後の1、2年間はいなかった。なんで宇津木がいなくなったのか、その事情までは知らないけど。彼女のフィジカルの強さ、身体の大きさは、このチームの良いアクセントになっていたと思うんだよね。もし、宇津木のような選手を使えないのであれば、同タイプの次の選手を発掘すべきだった。それができなかったし、発掘しているような感じはしなかったよね」
後藤「まず海外組があまり使われていないよね。最終メンバーを見ると、海外組がたくさんいるんだけど、それはここ1、2年間の間で海外に出た選手だから。だから、純粋な海外というのは言い方が変かもしれないけど、そういう選手は熊谷だけなんだよね。もしヨーロッパと勝負するならば、そういう選手がもっとチームにいたほうが良かったんじゃないかなとは思うね」