東京五輪での冒険はスタートして、自らの力で勝利を引き寄せた。だが、久保建英の「行く先」は、まだ決まっていない。
東京五輪開催前に、日本期待の若手の移籍先は決定するのではないかという憶測が流れていたが、そうはならなかった。まずは自国開催のオリンピックに専念だ。新たなクラブが決まるのは、その後になるだろう。
新しい可能性を探す日本の宝に、ぜひオススメしたいチームがある。
■セルタに流れるアルゼンチンの調べ
昨季のセルタ・デ・ビーゴは、不振に陥りながらも、シーズン途中の監督交代で大きく巻き返した。バトンを受けたエドゥアルド・コウデット監督が、チームに息を吹き返させたのみならず、魅力的なフットボールを浸透させようとしている。
コウデット監督にセルタ行きへ後押ししたのは、同じアルゼンチン人で、ファーストネームも同じエドゥアルド・ベリッソだった。かつて自身が美しいフットボールを植えつけたセルタを、若き同胞に託したのだ。
源流は、やはりアルゼンチンにある。ベリッソは、現在リーズを率いているマルセロ・ビエルサ監督の”申し子”として知られているのだ。
以前、母国でロサリオ・セントラルで監督を務めていた頃、影響を受けた指揮官について問われたコウデット監督は、ビエルサの名前を挙げていなかった。代わりに口にしていたのはマヌエル・ペジェグリーニ、アントニオ・モハメド、ディエゴ・シメオネの名だった。
だが、コウデットの提唱するフットボールはビエルサのそれに通ずるところがある。継続的な攻撃を好み、高いプレー強度とハードワークが必要とされる。後方からビルドアップでパスをつなぎ、全体をコンパクトに保ちながらボールを前進させていく。
そのコウデット監督の下、セルタは特殊な戦い方を見せ始めた。