スペイン人指導者が徹底分析!「五輪日本代表」(1)久保建英が目指すプレーと「移籍の可能性」の画像
スペイン戦でも奮闘した久保 写真:原悦生

 いよいよ、東京オリンピックが開幕する。開会式に先駆けて、前日の7月22日にはサッカー男子日本代表が初戦を戦う。
 17日には、大会前最後にして最高のゲームで準備を整えた。メダル候補である強国スペインと強化試合を行い、1-1で引き分けたのだ。
 この試合から見えてきたものと、頂点へとたどり着くための道筋を、ヨーロッパ最高位の指導者ライセンスを持ち、チーム・個人のパフォーマンス分析のスペシャリストであるアレックス・ラレア氏に徹底アナライズしてもらった。(通訳/神蔵勇太)

 U-24日本代表がU-24スペイン代表を迎え撃った試合は、前半終了間際の42分に動いた。決めた堂安律は、これで4試合連続ゴールとなった。そのゴールを導いたのは、久保建英。左サイドを独力で突破し、堂安に渡したボールが、スペインのゴール左隅に決まった。まさに、主役たちが期待に応える活躍を見せたわけだ。

 最終的に、試合は1-1の引き分けに終わった。勝てはしなかったものの、メダル候補のスペイン相手のドローは、選手たちに大きな自信を与えたことだろう。

 だがラレア氏は、この試合が持っていた、また違う意義を説明する。

「スペイン代表には、A代表に呼ばれていた選手が6人いたし、メンバーは全員、リーガでレギュラーとしてプレーしている選手たちです。日本にとっても、これまでは自分たちがボールを持ってプレーできましたが、今回は守備にまわる時間が長く、カウンターを中心にゲームを組み立てなければいけない相手と対戦しました。

 オリンピックではおそらく、そういう相手と戦わなければいけない状況が出てくるでしょうから、そういう意味を含めて大会前の良い準備になったと思います」(ラレア氏=以下同)

 スペインはアンカーを置く4-3-3のフォーメーションを敷き、日本代表を押し込んできた。日本は本番でも、同じくヨーロッパからやって来るフランスとグループステージで戦わねばならない。決勝トーナメントに進めば、勝ち残っているのは当然、強国ばかり。守備に比重を置かざるを得ない試合も増えてくるだろう。スペイン戦は、そうしたゲームに向けての絶好のテストとなった。

「スペインは、特に左サイドのダニ・オルモとインテリオールのダニ・セバージョスが、日本の守備を混乱させていました。この2人が日本の守備の間のずれたポジションに立って、さらにポジションチェンジをする。三角形の形を変えながら、受けたボールをアンカーのメンディに落とすと、かなりスペースがある状態でボールを前に動かせていました。さらに生まれた守備のずれを突いてボールを動かし、常にフリーの選手を使えていたので、日本はかなり苦しんでいました」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4