■スペインの原動力は何か

 最終的な試合のハイライトは彼ら2人の駆け引きであり、勝ち抜いたのはイタリアだったが、3連続で延長戦を繰り広げ、前評判以上の成績で記録上は1敗もせずに大会を終えたスペインの原動力はなんだったのだろうか。

 この大会のスペインには、フォワード不足、という言葉がついて回った。この試合のゴールを含め、大会合計で3得点を挙げたモラタも脅迫めいた批判を浴びることがあった。

 それだけ、中盤が優れており決定機が多かったということだ。

 シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタがいた頃とはテンポや距離感が異なるが、スペインのサッカーがボール保持をベースにしていることは変わっていない。そのスタイルと今の時代のスタンダードになっているハードワークをどちらも兼ね備える存在として称賛を浴びたのは、18歳のペドリだった。

 全試合で先発出場した彼の相手の痛いところを突くパスはこの試合でも際立ち、特に12分にスルーパス1発でミケル・オヤルサバルにディフェンスラインの裏、しかもペナルティエリア内ど真ん中を突かせた場面は強烈なインパクトを残した。ここでもオヤルサバルがコントロールに失敗して、シュートを放てずにフィニッシャー役が悪い目立ち方をしてしまったが、フォワード不足、と言われてしまうのは、こうして中盤が素晴らしいプレーを続けてきたからだ。

 その中盤で一際輝いていたペドリだが、彼の良さを引き出すことも含め、スペイン全体を支えていたのはセルヒオ・ブスケッツだった。

第2回につづく
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