■充実ぶりを示す「笑顔」
このような試合のキーになる場面でそれぞれが調子の良さを見せたからこその勝利なのは当たり前だが、チームの充実ぶりはより些細なことに表れていた。
笑顔もその1つだ。
ジョルジョ・キエッリーニが事あるごとに笑っているだけではない。たとえば、33分にティボー・クルトワに猛プレスをかけたチーロ・インモービレが体をぶつけてボールを奪ったがファウルの判定を受けた場面。それに抗議するインモービレの顔は笑っていた。
こういう精神面での充実は、決してここまでの結果だけがもたらしているわけではないだろう。
それを見るうえで興味深いシーンがあった。
それは先に挙げた25分にルカクにシュートされた場面で、ドンナルンマが弾いたボールがジョバンニ・ディ・ロレンツォのもとへ転がると、彼はそれをセーフティにゴールラインの外へ出した。
ジェレミー・ドクが反応してはいたものの、1度ボールを収めて前に蹴り出すことや、コーナーキックではなくスローインを与えることにするのは可能だった。あっさりとコーナーキックを与えてしまったディ・ロレンツォだが、ドンナルンマをはじめとした他の守備陣はその行為を咎めることなく、当然のこととして試合を進めた。