後藤健生の「蹴球放浪記」連載第65回「タイの2人のスーパーマン」の巻(1)1984年ロス五輪最終予選での「痛恨事態」の画像
日本対タイ戦の入場券 提供/後藤健生
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かつて国立競技場での日本代表戦になると、ハーフタイムに観客スタンドから全裸で飛び下りて、ピッチを疾走する名物男がいた。すぐに警備員につかまって連行されるのだが、別の日の代表戦で同じことをやらかす。入場料金を払った観客で、“全裸監督”ではなかったと思う。――今回は、放浪するジャーナリストが遭遇した、“微笑みの国”の代表チームと名物サポーターのエピソード――。

セレッソ大阪はなぜ引き分けたのか?

 現在、タイとウズベキスタンでAFCチャンピオンズリーグ東地区のグループステージの戦いが繰り広げられている。6月30日にはセレッソ大阪がタイのポートFCと対戦したが、前半アディショナルタイムにGK松井謙弥が何でもないロングキックのバウンドを見誤って頭上を越されて先制され、なんとか追い付いたものの引き分けに終わってしまった。内容は圧倒的にボールを保持して攻めていたのだから「勝点2を失った」試合だった。

 この試合、C大阪は大幅にメンバーを変えていたが、やはり急造メンバーでは呼吸が合わなかったのだろうか。

 その前日には川崎フロンターレがやはりメンバーを大幅に変更して戦ったが、こちらは北京国安相手に7対0の大勝。川崎とC大阪ではチーム力あるいはチーム状態に大きな違いがあるようだ。

 もちろん、相手が違うのだから単純に比較はできないし、ポートFCにはホーム・アドバンテージがあったのだが……。

 日本勢は好調だ。オーストラリアのクラブが棄権し、中国は二軍を送り込んできたので、ほとんどのグループが日韓の首位争いになるだろうが、韓国のチーム相手にもここまで日本勢は1つも星を落としていない。

 タイやマレーシア、シンガポールのクラブなら勝って当然。引き分けに持ち込まれると「大失態」のように感じてしまうのは僕だけではないだろう。

 良い時代じゃぁないか! 昔は、東南アジア相手に日本は何度も煮え湯を飲まされてきたものだ。

 その最たるものが、1984年に行われたロサンゼルス・オリンピックのアジア最終予選だった。

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