■あからさまなミスもあった

 問題があからさまに露呈したのは14分のプレーだ。すぐに引いていくスイスに対して3バックの形で攻めるフランスは、アントワーヌ・グリーズマンから左サイドに張り出したキリアン・ムバッペにパスが通るがサポートが来ない。左ウイングバックで起用されていたアドリアン・ラビオが悪いわけではない。彼はムバッペが外に出た時は内側のレーンに入るようにプレーすることを心掛けていた。それは確実にこのぶっつけ本番に対する指示だ。結局パスを出したグリーズマン自身がサポートに回ってきたが、その時にはムバッペはボールを下げることを選んでいた。

 下げられたボールは最終ラインに戻ったが、ここで中央のラングレから、左にせり出したままのムバッペに鋭いボールが出された。しかしムバッペは全く反応できず、ボールはゴールラインを割った。狙いとして悪くないボールだったが、その位置からそういうタイミングでそういうボールが供給される、ということがムバッペの頭の中になかった。

 この一連のプレーで練度の低いハリボテであることが露呈してしまうと、1分後にはスイスに先制を許す。

 左サイドからのクロスに対し、中央に構えていたラングレが競り合うことができずにヘディングを叩きこまれた。ジャンプの前の微調整をしようとしたラングレは後ろから軽く体を当てられただけで動きを止められてしまった。ど真ん中での強度に慣れていないことがここで出てしまった形で、守備時にパヴァールが加わってスライドするならば、中央はこれまで通りヴァランとキンペンベが務めれば良かったのではないか、と誰もが思う失点となった。

第2回につづく
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