【混沌のJ2(2)】昇格候補が降格圏目前…松本山雅・名波新監督に求められる「二段階再建」【戸塚啓のJ2のミカタ】の画像
名波浩新監督(松本)   写真:森田直樹/アフロスポーツ
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■7戦勝利なしの松本が柴田監督を解任

 今シーズン6チーム目の監督交代劇は、松本が舞台となった。

 柴田峡監督と西ヶ谷隆之コーチの解任と、名波浩監督の就任が21日に発表されたのである。

 昨シーズンの松本はJ2クラブワーストの13位に終わったものの、柴田監督が采配を振るった後半戦は9勝8分4敗と勝ち越した。21試合を17失点で乗り切り、J1に昇格した徳島と引分け、福岡からは勝利を奪った。3位の長崎とも敵地で引分けた。守備の建て直しで試合運びを安定させた。

 ディフェンスを整備した昨シーズン後半戦を受けて、今シーズンは攻撃力アップがテーマとなった。そのための戦力も整えた。ツエーゲン金沢で10得点をあげたルカオ水戸ホーリーホックで得点ランク4位の15ゴールを記録した山口一真を獲得した。山口は昨シーズン終盤に負傷したため、東京五輪後の戦列復帰を想定した前倒しの補強である。選手の入れ替わりは激しかったが、J1昇格争いに絡める陣容は整えることができた。柴田監督は「勝点84」と「1試合2得点以上で得点84」をノルマに掲げ、19年以来のJ1昇格に照準を絞った。

 開幕から黒星が先行したものの、10節から12節にかけて3連勝を飾った。4勝4分け4敗と成績を五分とし、13節でも当時首位の新潟と引分けた。ところが、15節から4連敗を喫してしまう。19日開催の大宮アルディージャ戦はスコアレスドローに終わり、13節から7試合連続勝利なしとなった。

 チームのベースとなるはずだった守備が、リーグワーストタイの30失点を喫している。得点力にも苦しんでおり、16得点はリーグで5番目に少ない。ひとまず17位に踏み止まっているものの、J3降格圏の19位以下のチームと数字はほぼ変わらないのだ。

 成績が上向く兆しは見つけにくく、このままでは残留争いに巻き込まれかねない。フロントとしては動かざるを得なかったと言える。

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