■浦和のパスコースを完璧に消し去った

 内容的に神戸が優位に立てたのは、変則的な3-5-2の布陣で浦和のパスコースをことごとく封じることに成功したからだ。

 神戸はGKは前川黛也菊池流帆大崎玲央小林友希のスリーバックに初瀬亮(左)と酒井高徳(右)のウィングバック。そして、セルジ・サンペール山口蛍アンドレス・イニエスタの3人がミッドフィルダー。最前線にドウグラス。やや下がり目のセカンド・ストライカーにアユブ・マシカという布陣だった。

 しかし、流れに応じて中盤はサンペールのアンカーに山口とイニエスタのインサイドハーフという逆三角形に変化したり、サンペールと山口をボランチとして、イニエスタが前目のポジションを取って、ドウグラスのワントップにヤクブ・マシカとイニエスタのツーシャドー(つまり、3-4-3)に変わったりと並びは流動的だったが、いずれにしもスリーバックが浦和のトップの興梠慎三関根貴大をマークし、両ウィングバックも浦和の両サイド(田中達也汰木康也)をマーク。浦和の前線にしっかりとマークを貼り付けることによって、浦和のパスコースをことごとく消してしまったのだ。

 浦和としてはパスを出したくても前線の選手がすべてマークを受けており、パスコースを探すのに時間がかかり、ますますコースが消される悪循環。後方でパスを回している間に神戸のDFは間合いを詰め、ラインを上げてくる。サイドチェンジを使っても、時間がかかってしまった分、相手も難なくスライドするのでパスコースは生まれない。強引に前線にパスを送り込んでも、カットされてしまう。

 神戸はカットしたボールをすぐに両サイドの酒井(右)や初瀬(左)に渡して、アーリークロスを使って浦和ゴールに迫った。

 3分には左に開いたイニエスタからファーサイドに上がってきた酒井にピンポイントのパスが送られ、このチャンスはCKとなったが、そこで得た左CKを初瀬がニアに蹴り込むとサンペールが頭で合わせてフリック。逆サイドに飛び込んだドウグラスが決めて、神戸があっさりと先制ゴールを奪った(3日前に札幌で行われた日本代表対U-24日本代表のゲームで、日本代表が決めた先制ゴールとそっくりなゴールだった)。

※第2回につづく

  1. 1
  2. 2
  3. 3